本書は日本経済への悲観論に対して、主にシュンペーターのイノベーション(新結合)を中心にした解決を紹介しているように見えた。
オビに「悲観論を乗り越える」とあるが、「悲観論」を「(能動的)ニヒリズム」と読み替えたほうがわかりやすいと思う。なぜなら「悲観論」のもう一端は「楽観論」となってしまうので。楽観論という語句が与えるフワフワした印象は、本書による「日本経済の悲観論への批判」という性格を表していないと感じる。
また本書全体を見ると、結びの4章では、副題にある通り「長寿、イノベーション、経済成長」について著者の主張が明確に書かれているものの、新書サイズという点で割り引いてもかなり物足りない結論に感じる。
本書を雑にまとめると「単に経済成長という数値を高めることを目的としたばかりに、マルサス、アダム・スミス的に捉えすぎて悲観的にならざるを得ない状況だが、様々な数字から見ると先細りという帰結に限定することはできない。また経済成長について視点を転じるためにスチュアート・ミル、マンデヴィル、とくにシュンペーターの視点からも捉える必要があるのではないか」という感じか。
ベタといえばベタな内容。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2018年10月30日
- 読了日 : 2018年10月30日
- 本棚登録日 : 2018年10月30日
みんなの感想をみる