それから (新潮文庫)

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本棚登録 : 4223
レビュー : 346
著者 :
michさん 純文学/古典   読み終わった 

「三四郎」「それから」「門」は夏目漱石の前期三部作と呼ばれているようで、「三四郎」をずっと前に読んでいたので、それでは次は「それから」を読もうかと思って手に取った本書。最初は「三四郎」の続編なのかと思っていましたが、どうやら三部作とはいえ、主人公はそれぞれ異なるようですね。解説によると、「三四郎」の主人公のような人物の”それから”を描いた作品とのこと。

前置きはさておき、本書の主人・代助がとにかく理屈っぽくて、なんだか頭はいいけど内面は子供のままな印象。何かやりたいことはあるんだけど、それが何かよくわからないから、先延ばし先延ばしで生きてきている。そんな主人公。屁理屈ばっかいってないで働け!といいたいけれど、実はたまに彼の考えに頷けるところもあって複雑な気分。誰しもが社会の流れに折り合いをつけて生きている、そんな現代社会において、その流れについていけない人物が、流れ自体を理屈っぽく批判している感じ。だからこそ、折り合いをつけている読み手からすると、たまに彼の言動に納得できたりするのかもしれません。

見方によっては、ずっと子供のままであった代助が父親による強制的なお見合い、そして友人の妻・三千代との出会いをきっかけに大人になっていく、そんな物語かもしれません。一方、代助は三千代への恋心を”思い出した”のではなく、実は強制的なお見合いから逃げ出す口実として、”思い出したことにした”のではないかと思ってしまいました。もちろん代助はそんな自らの心境は理解していないでしょう。それは代助のやけに理屈っぽい性格がすべて彼を正当化するためだけにあるものであり、彼自身も自らの内面を理解し切れていないのではと思うからです。そう考えると、まあ確かに最終的には大人になった代助なのでしょうが、なんだか悲しい、というかやるせない物語だなぁと思ったり。

レビュー投稿日
2018年2月24日
読了日
2018年2月23日
本棚登録日
2018年2月23日
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