地元書店の「お薦め文庫」のコーナーで紹介されていたので、気になって手に取ったところ、著者の波長と合いそうだったので購入した。
タイトルこそ「ベストセラー小説」と銘打っているが、実際は「売れる『アメリカ流エンターテインメント小説』の書き方である。発刊されてから30年以上経過しているため、アメリカ国内の出版事情やセールス方法を扱った冒頭3章については、古さが目立つ。また作者の考え方を、そのまま日本の事例に当てはめるのは無理がある。とはいえキャラクターの造形方法、プロットの立て方、スランプ克服法など、豊富な経験に裏付けられた彼の見解は、今もなお説得力を持つ。筆者は短い簡潔な文体が好みのようで、形容詞を豊富に使った、日本流の長い文体を愛好する読者には、違和感をもつ可能性もある。最終章で取り上げられる「読んでおくべき作家」のリストは、著者の好みであるということをあらかじめお断りしておく。しかし、この本で取り上げられた作家たちは、作家志望の人間は、必ず目を通すべきである。そしてベストセラー作家になるためには、とにかく読み、書くこと。それ以外の近道はない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
読書
- 感想投稿日 : 2016年7月12日
- 読了日 : 2016年7月1日
- 本棚登録日 : 2016年6月12日
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