- 捨てられ皇子と冬の明星 流蘇の花の物語 (富士見L文庫)
- 雪村花菜
- KADOKAWA / 2025年1月15日発売
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続きもの(地続きの世界の別のお話)があることを知らずに表紙買いしました。民族衣装っぽいのが可愛かった。
起承転結あったはずなんだけど、いまひとつどこのシーンでも盛り上がりを感じなかった。
もしくは、淡々と日常を描いたにしては設定がごちゃごちゃしてたな…という感覚。作中で「語られる」話の登場人物が「少年」とか「男」とばかり呼ばれていたからだとは思う。
あっけらかんとした『明の星』のキャラクターは楽しかったんだけど、話が(おそらくは設定の通りに)ぽんぽん進んでしまうので、ちょっと乗り切れなかった。読む人の好みによる部分が合わなかったんだろうなと思う。
2025年2月9日
- 本なら売るほど 1 (ハルタコミックス)
- 児島青
- KADOKAWA / 2025年1月15日発売
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どんなに好きでも5とかあんまりつけないんですけど本当に本当に良かったので5にさせてください。
一話からぼろぼろ泣いてしまった。悲しいというか、悔しさとか歯痒さとか「この人の人生が見えなくなる」の場面で思わず自分の本棚を仰いだ。読んで手元に残してる本50くらい。まだ読んでない積んだやつ800冊くらい。私はまだ人生半ばにも至ってない。
私の本も心ある誰かに捨てて欲しい。「うわあもうグラシン紙ぱりっぱりじゃん。もう卒業の時期だねえ」ってさよならして欲しい。
脱線したけど一番好きなのは寺田寅彦を知らなかった奥さま。ほんともう、こういうの大好き。
どの作家さんにとっても良い読者ではなかったからほぼ感想とか送ったことないんだけど、今回のハガキは送ります。
「本なら売るほど(1)」。(1)だって!嬉しい。
2025年1月21日
- あのとき売った本、売れた本
- 小出和代
- 光文社 / 2023年10月25日発売
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面白かった!週一くらいで本屋さんには行くものの、働いたことのない世界なので書店員トークとして読むだけでも面白かった。
不意に出会った本とか、人にオススメされた本とか、読者側にも大層覚えのある感覚だったのが嬉しい。「どの本のどのエピソードが」とかではなく、自分自身の思い出の一部をつまんで引っ張り出してきた記憶とよく似ていて、本屋さんあるあるというか、本あるあるでにこにこした。明らかに熱がこもりまくってるPOPも、静かに面展開してる秘めた推し方も「店員さんがそこまでやるなら」と素直に騙される(※いい意味で)タイプなので、毎週本屋に行ってても読みたい本が枯渇したことがない、そういえば。
かくいう私は10年前に「審神者様必携!」のツイートを見、まんまと本屋で当該帯を探して彷徨った審神者なので、出版社さんも書店さんも書店員さんもありがとう。おかげで今でも人生が豊かです。
2025年2月9日
- 読書の価値 (NHK出版新書)
- 森博嗣
- NHK出版 / 2018年4月7日発売
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いやはや、本と読書に対する意識がここまでまあまあ近い人に出会えるとは。物理の「本」に対するスタンスはこんなに違うのに!(わたしは進捗を残り何センチメートルかで把握したいので物理でほしいひとだし縦書きが好き)
『すべてがFになる』をそこら辺の棚に積みっぱなしで、森さんの思考と文章に触れた最初の本でした。面白かった。
目で見るタイプの表現手段(写真、漫画、映像等々)だと一定は見た目で好みかどうかを判断できるけど、小説をはじめ文字媒体だと、ちょっとは読まないと好みかどうかわからないし、文字だけで書いてあることを正確に把握するのはかなり重労働なのでとっつきにくい感はあると思う。
ただ、森さんが書いているように千円くらいの対価でこんなにも他人の思考(ノンフィクションなら言葉そのままだし、フィクションであれば文章表現方法含めた複合的なもの)に触れられるツールって他にないと思うし、そういう意味ではコスパもタイパもいい。本当に。
個人的には「作者の頭から出てきた順」にシリーズを履修していくのが好きだから「一巻から読ませてほしい/読んでほしい」派ではあるんだけど(そうじゃないとキャラクターが成長してたり前作を踏まえてたりするとネタバレを踏んでしまう)、すべてが〜が四つめと聞いて、ならどこから読んでもいいか…いやまて逆に最初に書いたのどれだよ…と変な悩みが増えたところです。
2025年2月9日
- あやかし長屋 嫁は猫又 (講談社文庫)
- 神楽坂淳
- 講談社 / 2021年8月12日発売
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キャラクターものとして楽しかったな〜という感じ。
(ただ、個人的な好みの影響で、雪女が出てきた瞬間から頭の中の長屋の妖怪たちの姿がほぼうる星やつらだった)
良くも悪くもさらっと読める。妖怪の説明のところが明らかに「説明です」「補足です」という感じ(ストーリーに組み込まれてるというよりは、「〇〇っていう妖怪はそう言う性質があるので設定に使ってます」ていう説明ぽい)のが少し気になったけど、まあ時代物ってどれもそんなものだし。
女子ズが強くて、菊一郎割と影薄くて笑、志津ちゃんの「やっていい?」って悪気なく聞いてくる感じ、可愛かったな〜。
平次もちゃんとたまちゃん好きなのがわかるので、嫌な感じしなくて良かった。
2025年2月6日
- 初午いなり 木挽町芝居茶屋事件帖 (ハルキ文庫)
- 篠綾子
- 角川春樹事務所 / 2022年1月14日発売
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好きな感じの時代劇だな〜という印象。キャラクターたちも突飛すぎず地味すぎず。鬼勘の見せ場がもっとあったら嬉しかったな〜!でも憎まれ役というか、仲間にはなりきらないのが良いところ(立場的に)だから我慢。
途中から謎解き風味に興味を持って行かれてしまったので、いなりの前に出てきたご飯のことをほぼ覚えてない気がする。申し訳ない。
2025年2月17日
- 多読術 (ちくまプリマー新書)
- 松岡正剛
- 筑摩書房 / 2009年4月1日発売
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多読術とは言いながら、本との向き合い方というか、「読書」という行為に対しての絶対的な信頼を前提とした上で、「読書はリスクである」と言い切るところ、私はなかなか腑に落ちた感覚だった。
本っていうのは手紙やメッセージのように丸ごとそのまま伝える必要がある物と違う、意味や意図が交わされるっていうところ、「あぁ!なるほど!」という気持ちで身体に沁みた。
2024年11月9日
- マンガで成功 自分の時間をとりもどす 時間管理大全
- 中島美鈴
- 主婦の友社 / 2024年5月29日発売
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常に時間管理が下手くそで、テスト前には部屋の片付けを始め、スキマ時間だけスマホを手にするつもりがSNSとソシャゲのハシゴ。わかってはいるんですよねぇ…の経験があまりにも多い。
ので、割と「時間管理」とか「先延ばししないためには」みたいな本は気にして読んでみてきた方だと思うけど、この本はカジュアルで気軽に読めるところがいいな、と思った。
やらなきゃ!気をつけなきゃ!感はそこまでないけど、「わかってんだよ自分の怠け癖が悪いって〜」なわたしには「『わかってるわたし』のこともご理解いただいた上でのご提案ね。オーケー!」みたいな受け入れ方ができる感覚だったので、あれしろこれしろ言われるのが嫌なひとはこの本合ってるかもしれません。
(今までお世話になったいろんな似たジャンルの本でも同じようなご提案の仕方をしてくれたのももちろんあったけど、医者との相性が良い悪いみたいな、そんな感じ)
8人すべての例に対して「わかるわ〜」だったけど、最後の傾向がわかるチェックリストのやつは「確かに着手するならそこからだな…」と思ったので、何かのとっかかりにはいいと思う。
とりあえず、三日坊主で投げ出したバーチカル手帳を部屋のどこかから発掘するところから…………明日からやります。
2024年8月30日
- それでも世界は回っている (1)
- 吉田篤弘
- 徳間書店 / 2021年5月29日発売
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童話のような、ミステリのような、うーん、アドベンチャーというか。
活劇ではないけど、何か絶えず新しいことが起きていて、でもとびきり輝くような新しさではない感じ。
ブルーブラックのインクに対するあの絶対的な信頼と安心感が穏やかにずっとあって、でも、だからこそ六番目のブルーってどんな色なんだろう、という、うちに秘めるくらいのささやかで細やかな好奇心がじわっと残ってる。
小難しい言葉も言い回しもないのに、「あ、」と思う文章が点々としてた。
「旅っていうのは、どこかに行って帰ってくること。」一番好きです。
2024年8月29日
- インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。
- 菅付雅信
- ダイヤモンド社 / 2024年6月6日発売
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ジャンルも様々にいろいろ書いてあるし、「たとえばこういう作品を見てみたら」というお試しリストも載せてくれていて、手始めってどこから入ればいいんだ?みたいなジャンルはありがたかった(私の場合は美術と食関係)。
とはいえ、なんというか、適度なゆるさが不快感なく読み終えられた要因だと思う。押し付けがましくないし、警鐘を鳴らしすぎないし、どっちかっていうと程よく背中を押されて程よく励まされる感じがした。
バランス、中庸。どんなジャンルにも良いものも悪いものもあるし、ひとつのものにも長所と短所がある。そういう中で「なるほど、じゃあ私はこうしようかな」と思えるだけの経験値を「インプットしたもの」から導くのがいいんじゃない。そういう本だった。
2024年11月9日
- 人生を豊かにする 歴史・時代小説教室 (文春新書)
- 安部龍太郎
- 文藝春秋 / 2022年4月20日発売
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「世のものづくりの人たちはどんなことを考えて、どんな経験を経てこの作品を産んだのか?」が常々気になってるので、そういう意味で楽しく読みました。
(「この作品はこういうこと考えながら書いて、一番自分で描いてて楽しかったのは何ページの何のシーンで、一番苦労したのはココで、参考資料にしたのは〇〇で…」みたいなことを一作ごとに聞いてみたいタイプの人間なので…。)
取材は行くよね〜とか、資料どうしてる〜?とか、やっぱそういうところ大変なんだなーというのが、完全に個人の感覚で感想を言うと微笑ましかった。
心得というか心構えというか、作家として生きるつもりなら、みたいな部分が結構あったかな。インタビュアー(編集長さん)側である程度「これから作家を目指そうという方へ」という意図で質問してたり、「こういうこと気をつけて欲しいですね」みたいな意志を持った会話をしてるので、時代もの、歴史ものちゃんと書いてみたい人にとても参考になるのでは。
畠中さんがみなさん持ってると思うけど、って言いつつ挙げられた守貞漫稿、わたしも持ってる〜!という謎のアガり方をしました。
2024年11月3日
2024年5月21日
- 少年泉鏡花の明治奇談録 (ポプラ文庫ピュアフル 361)
- 峰守ひろかず
- ポプラ社 / 2023年8月3日発売
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考えてみたら泉鏡花読んだことなかった!面白さが全部わからなかったかもしれないとは思いつつ…。
読書にのめり込み始めたのが京極夏彦きっかけなので、人間の業とうっすら漂う怪異…みたいな雰囲気は大変好みなので、モチーフが楽しかったなという感覚。
キャラクターとストーリーはそこまで自分のツボにハマらず…物足りない感…?
とはいえ山姫さまみたいなカッコよくて謎を残したままのひとが好きなのは仕方がない。
2024年5月19日
- なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書 1212)
- 三宅香帆
- 集英社 / 2024年4月17日発売
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最近やっと自宅の積読量がやばいことに気付いて、隙あらば読書の時間を取り始めた矢先に発売された本。著者の方の感覚が割と「わかる」感じがあって、「それな〜」と思いながら読了。
そうそう、ネットで済んでしまうことって調べものなのよ。読書中や、書店に行って「おもしろいな〜」と思う瞬間って、高校の教科書で読んでから『こころ』の「よござんす、さしあげましょ」だけを永遠に忘れられなかったり、『地球の歩き方コーナー』に「ムー」コラボのやつがあってつい笑いつつ買っちゃったり(世界の不思議系だいすき!)、なんかそういう思いがけないことに出会ってしまったときだと思う。幸運にもわたしはそういう経験を山ほどしてきたので、「読書」に対する信頼が厚い。もちろん「あぁだめだ全然文体が合わない」「半分読んだからもう充分かな」みたいなどうしても相性の悪い本もあったけど、それはそれとして自分の傾向や好みがわかる経験だったと思うし。
ともかく、本すら読めない人生なんか楽しくないよなぁと思うタイプの人間にはなかなか楽しかったです。思いがけず「日本人の仕事事情」や「本の売れ筋傾向の変遷」が学べて面白かった。
2024年5月6日
- あぶない刑事1990
- 柏原寛司
- 講談社 / 2024年4月2日発売
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柏原さんのホンだな〜!
ある程度頭の中でドラマ映像として再現できる人向けかな(そっちの意味では★4の気持ち)。単純な小説としてはそこまでではないかも。
しかし、こうしてストーリーとしてだけ読むと港署って変な人しかいなかったんだな…笑
2024年5月5日
- 続ける思考 「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる!
- 井上新八
- ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2023年11月25日発売
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同じような「継続は力なり」的な本はいくらでもあるし、実際数冊読んだことはあるけど、この本が一番性に合った感じがした。
「〇〇しなさい」とか、「□□はダメだ」とか一方的な感じではなくて、「□□だとできなかったから〇〇にしてみて今まで続けてる」みたいな。
淡々としたような、でも作者さんのかなり個人的な経験をこっそり教えてもらってるような感覚で、突き放されず、手を引かれすぎもしない、丁度いい温度感の語り口と分量だったと思う。
これは時々「推しのぶつ森キャラなんて名前だっけ…」とか、そういうのを読み返したくなりそうなので本棚に置いておこう。
2024年5月5日
- 八月の御所グラウンド
- 万城目学
- 文藝春秋 / 2023年8月3日発売
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万城目さんの御本てそういえば初めて読んだ。
「スポーツ」の話だし、「歴史」の話だし、「かつてあったもの(史実、事実)」の話なんだけど、なんだろうなぁ、「八月の京都かぁ、暑いよねえ。」と同じくらいの、「実際そう」で、「誰かのじゃなくて誰にでも」の、「身近にあるもの(事実、感覚)」を読んだ感じがあった。
特別感動したとか、悲しくなったとかは正直ほとんどなかったけど、えーちゃんまた野球やってくれっかなー、みたいなことを、たぶん、次京都旅行に行くときに思い出しそう。
ゼミの先生の、「わかってる」感じがなんだかよくて、語られる形でしか登場しないのに、なんか結構この人好きだな、と思った。
2024年5月5日
- あくまでも探偵は もう助手はいない (講談社タイガ)
- 如月新一
- 講談社 / 2022年3月15日発売
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続編と知らずこちらのみ読了。もしかしたら私の知らない森巣と平の物語があったのかもしれないけど、どうにも作中で描写された森巣の振る舞いから判断しうる範囲の人格と、平からの「彼は本当はこういう人だから」が一致しない感覚が強く、最後まで平の妄想を読んでる気分だった。ミステリ部分を上回る平視点のモノローグ(地の文としてではない平個人としての評価)が多すぎて何が起きたか覚えてないや…。
2024年1月29日
- 同志少女よ、敵を撃て
- 逢坂冬馬
- 早川書房 / 2021年11月17日発売
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「面白かった」と言う言葉が正しい評価なのかはわからないけど、読み終わった瞬間に「とんでもないものを読んだ」という気持ちがすごかった。これほどの衝撃は予想していなかった。
彼女たちの苛烈な日々を共に過ごしてしまったので(過ごしてしまった気分なので)、なんというか、エピローグでやっと一息つけた心地。年始早々に読んで、2024ベストかもしれない一冊。今年の読書は幸先がいい。
2024年1月29日