できる子はどっち?

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  • KADOKAWA/中経出版 (2015年5月22日発売)
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・多くの時間とお金をかけている割には、ほとんどの家庭がその成果・結果を感じられていない。原因は2つ。
1)どの家庭も目先のテストの点数やママ友同士の評判・噂話ばかりが話題の中心になっていること。偏差値や知名度、見栄だけで学校や塾を安易に選ぶため、子どもの実力が伴わず、結果として必要以上に無駄な時間とお金を費やしてしまう。
2)単純に「本当のことをしらない」から。安易な学校選び・塾選びをやめて「もったいない」状態から抜け出そう。

・約40年ぶりに実施される「大学入試改革」は明治以来続く、日本の教育制度を変える大事業。大学進学の受験制度が変わるということは、そこに至る前の高校・中学・小学などすべての教育制度や受験システムが変わることを意味する。いわゆる受験エリートのような「できる子」とは異なる、10年後、20年後も活躍できる人材となれる「できる子」とはどんな子かを考えよう。

・開成高校に東大合格者が多いのは「やりたいこと」「目標にしていること」に無頓着な「できる子」がたくさんいるため。明確な目標や、やりたいことがどうのという前に、勉強をする環境に身をおくこと。目標は決めず、「とりあえず」始め、知らず知らずのうちに将来の選択肢を増やしている子が「できる子」。

・初めから他人のために行動するのは難しい。いい人ぶらず、「for me」を突き詰めていくとそれがいつか「for you」になる。

・成功体験にこだわると、行動量が落ちてしまう。失敗が多いほど、成功するチャンスもより増してくる。

・他人を知る前に自分を知る。たくさん動いてたくさん経験を積んでおけば、似たような状況にいる他人を思いやることができる。

・「意識」を変えるのは難しいからまずは「行動」を変えてしまおう。ただしその前には人間らしい感情があることも忘れずに。「勉強してほしい、合格してほしい」と思っても子どもに好かれなければ何をいっても聞いてくれない。カッコよくいえば子どもからリスペクトされること。小言で嫌われずに自分の言葉を聞いてもらえるように親がカッコいい存在となるか、本人が勝手に動いてくれるような興味・関心を見つけ、それを膨らますことに全力を注ごう。

・大学の序列が一気に変わっていく。伝統や評判という「枠」を取り払い、20年後にも必要とされる大学はどこか、よく吟味しよう。

・留学渡航先としては、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ヴェトナム中心のアジアを薦める。費用を抑えて留学し、多様な人種・文化や価値観を学びながらLCCを使って飛び回りつつ、優秀な成績を修めて奨学金をとりつけてから欧米の高等教育機関に進むという作戦。アジアへの留学はとにかく安価。また、世界人口の40億以上がアジアで暮らしているため、たくさんの人や人種、歴史や文化、価値観が存在する。さらにアジアには欧米の大学が競ってその出先機関をつくっている。つまりアジアの学校で優秀な成績を修めれば、奨学金をもらって欧米の高等教育へつなげることも可能となってきた。アジアには人口が増えていく「若い国」もたくさんある。今後20年、40年というスパンで考えると、この若年層が世に出ることになる。今の子どもたちは日本人同士の接点よりも外国人との接点、特にインド、中東、アフリカの人たちと関わる可能性が高いと言える。そのときに役立つ要素は英語力と自己主張の強さ。また、文化や宗教に関する「教養」が必要な時代になるのは確実。またフランスの植民地が多くフランス語がきーとなるが、ヴェトナムもフランス語やフランス文化を知ることができる。費用を抑えて海外経験を積みながら、インド人のように英語力を鍛えて主張することを学び、インドネシアやマレーシアでムスリム文化を学びながらヴェトナムでフランスの香りに触れる。LCCを使ってさまざまな国へ渡りつつ、将来を見据えて研鑽し、奨学金を得て欧米へ。これを小学校高学年から中学生の間くらいに実施しておけば、「できる子」の下地にもなり、選択肢を広げられる。もちろん新しい大学受験制度にも対応できる。事件や事故に巻き込まれないよう自分の身を守る「リスク管理」も含め、自分で判断して行動することも学ばせるために、単身留学させるのもポイント。

・失敗を失敗と認められる能力もできる子の素養。視野が狭すぎるから浪人しそうになる。百歩譲って浪人して第一志望大学を目指さず現役で第二志望の大学に進学すること。変なプライドはかなぐり捨てて入ってから考える。1年間を「たかが受験勉強」に費やすことのほうがもったいない。

・親のもっている「これまでの杖」を取り払わなければ、いくら時間とお金があってもきりがない。「これから」は子どもが自分で行動し、経験し、判断力を身に付けて生きていく時代。「転ばぬ先の杖」も10本、100本あったら邪魔。大人がもっている「枠」を少しでも取り除くことが、子どもにとって最も大事なこと。大人が意識を変えていくことで普段の生活のなかでも充分にアンテナが働くようになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年9月28日
読了日 : 2016年9月28日
本棚登録日 : 2016年9月28日

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