サーバント・リーダーシップ入門

  • かんき出版 (2007年11月5日発売)
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●サーバント・リーダーシップの定義
リーダーである人は、「まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という実践哲学をサーバント・リーダーシップといいます。サーバント・リーダーは相手に対し奉仕する人です。相手への奉仕を通じて、相手を導きたいという気持ちになり、その後リーダーとして相手を導く役割を受け入れる人なのです。サーバント・リーダーはつねに他者がいちばん必要としているものを提供しようと努めます。

●サーバント・リーダーシップの考え方
リーダーシップはとてもシンプルな現象。信じてついていってもいいと思える人に、フォロワーたちが喜んでついていっている状態がリーダーシップという社会現象であり、そのように信じられる人に備わっているものが、その人に帰属されるリーダーシップの持ち味である。だから、リーダーシップのカギとなる言葉をひとつだけ挙げるとしたら、「その人を信じられるかどうか」になるだろう。つまりは「信頼」。信頼できる人なら、人はついていく。では、どういう人であれば信頼してついていくかというと、フォロワーのためを思ってくれる人だ。リーダーがフォロワーに尽くしてくれる、奉仕してくれると感じられるときに、フォロワーは心のそこからリーダーを信頼してついていくのである。

●サーバントという言葉は「奉仕する人」「尽くす人」と訳す。フォロワーに自発的についてきてもらおうと思ったら、リーダーがフォロワーに尽くすほうがよいのである。ただし、サーバントになるということは、下手に出て召使のように振舞うことではけっしてない。なんでもいいから相手に尽くすというものでもない。「ミッション(使命)の名の下に奉仕者となる」という高貴な面が、非常に重要なのだ。

●地位や肩書きによる管理の世界では、部下を部下と認め、その業績を評価するのは管理する側の人間だ。しかし、リーダーシップで人が動く場合、潜在的なリーダーを本当にリーダーだと認めるのは、フォロワーの側だ。

●リーダーシップはどこにあるのかという問いに対しては、「大半のフォロワーの頭のなかにある」という答えがあると同時に、「相互接触するリーダーとフォロワーたちの間にある」ということにもなるだろう。

●リーダーシップとは、フォロワーが目的に向かって自発的に動き出すのに影響を与えるプロセスである。

●上司と部下、だれがだれのために存在するのか。
フォロワーはリーダーを信頼し、彼が描く大きな絵(ビジョン)に共鳴してリーダーについていく。そのときフォロワーが目指すものはリーダーのそれと同じ、もしくは近いものであり、一緒になって実現するのもフォロワーだ。リーダーはあくまでその手伝いをするのである。それがサーバント・リーダーシップの基本的な考え方である。

●「サーバント」と「リーダー」この2つの役割は融合し合えるのか?もし融合しうるとしたら、2つの役割が融合したその人物は、現在の実際の世界のなかで、うまく実り多く生きていけるか?ーYES。「サーバントとしてのリーダーシップは、最初は尽くしたい(奉仕したい)という自然な感情に始まる。その後に、自覚的に選択したうえで、導いてもいきたいという気持ちになっていくものなのだ。」最初に沸き起こるのは、「尽くしたい」あるいは「奉仕したい」という自然な感情である。まずそれを実践し、その後でリーダーとしての役割も果たさなければならないのだと考えるのである。これは親が自分の子どもに対して抱く思いと似ている。

●イチローの父の考え方
「けっして前に出ることなく、後ろからくっついていくのが、私の最大の楽しみだった。親が後ろからついていけば、見守っていけば、子どもは安心して迷わずにまっすぐ歩けるものだと確信している」by鈴木宜之氏
ガンジーやキング牧師のような超ド級の人を考えなくても、さりげなく萌芽的なサーバント・リーダーとして身近な人に接することができている人もいるのだ。恋人同士の間にも、サーバント・リーダーの萌芽的な現象が見られる。好きな人ができたとき、いきなり相手をぐいぐい引っ張っていきたいとはだれも思わないだろう。まずは「この人を喜ばせてあげたい。どうしてあげたら喜ぶだろうか」と、下心なしに尽くしたいと思うはずだ。そして「強い思い」を抱いて付き合いが深まるようになると、相手を守りたいという気持ちとともに、2人の関係を自分が(奉仕することを通じて)リードしていきたいと思うようになるのが普通である。もちろん「交換」に基づく関係ではない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年10月24日
読了日 : 2015年10月24日
本棚登録日 : 2015年10月24日

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