One Fine Day

著者 :
  • Simon & Schuster Books for Young Readers (1971年8月1日発売)
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感想 : 3
5

この絵本の主人公はキツネ。昔話でしばしばずる賢いキャラとして描かれるキツネ。

冒頭、喉が渇いていたキツネは、おばあさんが森で薪を集めている隙に、彼女のミルク缶をひっくり返して飲んでしまう。怒ったおばあさんは、ナイフでキツネの尻尾を切ってしまう。

「わたしのミルクを返せ。そしたらおまえの尻尾を返してやる」

そう言われたキツネは泣く泣くミルクを探しにいく。しかし乳牛はそう簡単にはミルクをくれない。草を持ってきたらあげてもいいと言う。

だからキツネは草原に行く。そして草原に向かって、草を分けてほしいと頼む。しかしこんどは、欲しけりゃ水を持ってこいと言われてしまう。

しかし水は水差しを、水差しの持ち主である女性は青いビーズを、ビーズの持ち主である行商人は卵を、卵の持ち主であるめんどりは穀粒を、それぞれ欲しがる。

キツネはなかなか尻尾を守り戻すことができない。
しかしついに、親切な粉屋の男がキツネを憐れに思って穀物を分けてくれた!

ここからあっという間に、それまで出会った人間や動物たちが欲しいものを与えることができ、自分の尻尾にたどりつく。おばあさんは元の場所に、針と糸で尻尾を縫い付けてくれましたとさ、というお話。

面白いのは、欲しいものがあれば、代わりに何かを渡すか、あるいはそのぶん働け、という教訓があるわけではないところ。

まあキツネの自業自得だといえなくもないのだけれど、このキツネは粉屋による小さな無償の「贈与」によって救われる。じつはこの世はこうした贈与なしでは立ち行かないということを描いているのだと思う。この結末があることで、このお話はグンと深みを増す。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2022年8月21日
読了日 : 2022年8月21日
本棚登録日 : 2022年8月21日

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