〇〇についてたいせつなことは〇〇だ、で始まる詩。
最初はスプーンについて。
「(スプーン)にとってたいせつなのはそれを使ってものを食べるということ。
(そのあと、スプーンの属性や機能性が述べられ、)
でも(スプーン)にとってたいせつなのはそれを使ってものを食べるということ。」
この型が反復される。( )内にはデイジーや雨や草や雪などが入る。(空)のくだりにきて、壮大になってきたからいよいよオチっぽいのがくるはずだぞ、と思ったら、
「あなたにとってたいせつなことはあなたがあなたであること。
たしかにきみはかつて赤ん坊だったけど
大きくなって
今はひとりの子どもだけど
いずれ男に
あるいは女になるのだろう。
でもあなたにとってたいせつなことはあなたがあなたであること」
だった。嫌な予感が的中。しかもでかでかと右ページに、
you are youと書いてある。笑ってしまった。
これはこれで、アメリカ人の多数にとっては自然な認識なのかもしれないから尊重はするけど、このトートロジーというか自同律というか、しんどい。ギョッとする。
むしろあなたはあなたでありながら、時を経て子どもになったり、男や女になったり、親になったり、思いもよらなかった者に変身変化する、という順序が個人的には自然。
you are youって、それにしてもすごいな。それ以外は属性にすぎないということか。これがスタンダードにならないことを祈るばかり。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2022年5月31日
- 読了日 : 2022年5月31日
- 本棚登録日 : 2022年5月31日
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