How I Learned Geography

  • Farrar Straus & Giroux (2008年4月1日発売)
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感想 : 9
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ユリ・シュルヴィッツの波乱に満ちた人生を寡聞にして知らなかった。戦火のポーランドを逃れ、ロシアや小アジアを転々とし、パリへ、そしてアメリカへ。

本作はそんな過酷な状況のなかでの1エピソードが元になっている。
少年と母親は食べ物がなくて飢えているのだけれど、市場にでかけた父親はある日、パンの代わりに大きな世界地図を1枚買って戻ってきた。それで少年はひどく腹を立てるのだが……
というところから始まる、いわば誤配が予期せぬ学びを生むという話。

すてきな話なんだけど、シュルヴィッツ氏のほかの傑作「よあけ」「ゆき」「あるげつようびのあさ」などと比べてしまうせいでどうも見劣りがする気がしてしまう。

たぶん、あまり事実は書かないほうがいいのだと思う。作者の人生を知ったところで、それは彼のフィクションにふんだんに滲みでているから。
例えば「よあけ」から滲み出るなんともいえないもの哀しさの理由を、知りたくなかったと思う自分もいる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2021年12月3日
読了日 : 2021年12月3日
本棚登録日 : 2021年12月3日

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