Henry "BOX" Brownという黒人奴隷が、Dr. Smithという奴隷制度に反対する白人の手を借り、狭い木箱のなかに入り、荷物に扮して船でフィラデルフィアまで逃げる。どうやら実話に基づいたお話らしい。
船上で、乗客の白人たちの腰かけにされたりして、この顛末は顛末でドキドキするのだけれど、
何より衝撃的だったのは、HenryがNancyと双方の主人の同意のもとで結婚したはいいが、妻子が生まれた子どもたちもろとも売り払われ、両者があっさり離別してしまうくだり。
奴隷であるという事実の一端が実感として迫りぞっとした。ほんとうに所有「物」として扱われていたのだ。
生まれてくる子どもたちも当然所有物だから、家畜と同様、売買の対象になる。
現代から見ればいくらでもその惨さを非難できるとはいえ、それにしてもこんなひどいことがまかり通っていたなんて信じがたい。
無事、自由の人となり、奴隷制度反対派の人たちからHenryにつけられた"Box"というミドルネームだが、やはりその「物」としての存在を物語っているようで痛々しい。いちおうハッピーエンドのお話なのだろうけれど。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2023年2月12日
- 読了日 : 2023年2月12日
- 本棚登録日 : 2023年2月12日
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