The Little Engine That Could: The Complete, Original Edition
- Grosset & Dunlap (2001年7月31日発売)
何より絵がレトロで、今見ると魅力的。初版は1930年。
小さな機関車のお話。「彼女」は動物のぬいぐるみや、お人形や、おもちゃの飛行機、ジャックナイフ(!?)、パズルや本、いろんな男の子、女の子が欲しがりそうなものを積んでいて、
おまけに果物やミルク、新鮮なほうれん草(!?)、キャンディーなど、おいしい食べ物も積んでいる。
小さな機関車はこれから、山の反対側で待つ男の子や女の子にそれらを届けにいくのだ。
ところが、緊急事態。突然彼女は立ち往生してしまう。
そこで、やってきたピカピカの機関車や、大きな機関車、老いた貨物車に助けを求めても、みんな知らん顔。
ようやく、次にやってきた青い小さな機関車が応じてくれた。そしてそこからは「彼女」が貨車を運んでくれることになる。
それでどうにか、子どもたちが目を覚ます前に、おもちゃや食べ物を届けることができました、というお話ーー
汚れた心の大人である私は、
「きみが助けてくれなきゃ、山の向こうの少年少女たちが遊ぶためのおもちゃも、おいしい食べ物も、届けられなくなってしまう」
という、ぬいぐるみや人形たちが執拗に繰り返す、独りよがりの"善意の押しつけ"にイライラしてしまったが、どうか子どもたち、こんな大人にならないでほしい。
ところで、小さな機関車がともに「彼女」と呼ばれているのは、男性/女性名詞の名残りだろうか。
と思って他の機関車も確かめてみたら、「助けてくれない」機関車たちはみんな「彼」(笑)。
なんか意味があるに違いない。第1波フェミニズムの余波だろうかとも考えたが、この時代、このWatty Piperなる(おそらく)男性作者がフェミニストだということはありうるのか。うん、それはありうる。でもあったとしても……などなどよく分からなくて気になってしかたがない。
とはいえいちばん気になったのはやっぱりジャックナイフとほうれん草だけど。
- 感想投稿日 : 2022年10月7日
- 読了日 : 2022年10月7日
- 本棚登録日 : 2022年10月7日
みんなの感想をみる