読み始める前の印象。これから「私」の祖母が死にゆくことは何となく推測できる。私自身にとってもっとも刺さる巻になりそうな予感。
あと、毎度表紙の左上端にある絵を楽しみにしているのだけれど、今回はクリムトの「接吻」かあ。。。前巻の絵はけっこうグッときた。読後、なるほどそういうわけだったのか、と思いたいのだが。。。
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第1章読了。祖母は死んだ。肝心の臨終の場面で語り手は急に祖母の死後直後の「先取り」をする。この自由さにまず痺れる。また、見舞いに来たゲルマント氏が祖母の死をめぐる騒動と並べられることによって際立つその、社会階級の虚しさ。このような状況において人間の真価は出るのだが、こうしてにわかにかき混ぜられた階級は、その後の社会生活はどのように復旧されるのか。
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ゲルマント公爵夫人への「私」の思いが冷めるにつれ、なぜか彼女への言及が無駄に多くなってくる。不思議なことに、そんな思いの冷却に反比例して、良きにつけ悪しきにつけ、彼女の人間的魅力が増してくるのが本書の魅力だということは間違いない。だって、いつになったらゲルマント公爵夫人宅による晩餐会が始まるんだよ!
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と思ったら、晩餐会の描写の長いこと。公爵夫人やら大公夫人や大使やら、誰が誰だかわからない。しかもみんな親戚っぽくて。それに、だんだんとゲルマント公爵夫人に対する見方が意地悪くなってきた。
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巻末、危篤状態にある親戚から逃げるようにして晩餐会に出かける、あまりに軽薄なゲルマンと公爵夫妻が、病気で死にかかったスワン氏と別れる場面、胸潰れる。
- 感想投稿日 : 2019年1月25日
- 読了日 : 2019年2月18日
- 本棚登録日 : 2019年1月25日
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