ドクロ

  • スイッチ・パブリッシング (2024年4月15日発売)
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感想 : 36
5

『どこいったん』などのちょっとヒヤリとさせられる絵本の作者であるジョン・クラッセンの本。ちょっと長めの絵本。

「ある夜、みな寝しずまった 真夜中に、オティラはとうとう逃げた」

という文で始まる。柴田元幸の訳では、オティラが男の子か女の子かは判然としない。
原文にはあたっていないが、オリジナルでもわざとそうしてあるのかもしれない。

ところで、オティラは、どこから逃げたのかは書かれていない。
だから、本作を読めば読むほどにそこが怖く感じられてくる。

というのも、オティラはどこかから逃げ出し、森へ迷い込み、やがてある屋敷にたどり着く。
扉を叩くと、胴体のない頭蓋骨がオティラを出迎える。
ふつうなら恐怖におののくところだけれど、オティラは平然とし、屋敷のなかへ入っていく。

一方で、いったいどんな恐ろしい場所から逃げ出してきたのかと、背筋がぞくっとさせられる。

オティラはこの頭蓋骨とともに一夜を過ごすことになるのだが、夜中になるとこの頭蓋骨の胴体部分が、頭蓋骨を探しにくるというのだ。
じっさいオティラが耳にしたとおり、胴体部分の骨が現れる。
さてオティラと頭蓋骨はどうなったのか……

読み終えたあとで、こんな不思議なカタルシスもあるのかと、なんだか初めての食べ物を食べた後のような余韻が残った。
ダークな物語だけれど、これで良かったのだと、妙に納得させられた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2024年6月11日
読了日 : 2024年6月11日
本棚登録日 : 2024年6月11日

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