バーネットの『秘密の花園』をアニエスカ・ホランドが映画化。プロデューサーはフランシス・フォード・コッポラ。
いろいろと原作と違う点を探しながら観るのが楽しかった。例えばメアリの両親はコレラではなく地震で死ぬ。それに、原作に流れるわりとゆったりとした時間が、映画版ではわりと短いショットをつないでどんどん展開していく。
なるほどたしかに、原作どおりにすると映画版では間が持たないかもしれない。
映像は期待以上。ディコンが乗る白馬がいいアクセントになっていた。屋敷の緑のトンネルを抜けた向こうにある荒野に、白馬が立っているショットが印象に残る。またこの馬の動きがショットどうしをつなぐ役割も果たしている。
もちろん、花園のシーンも、映像で見せられると原作を読んで想像していた以上に植物の種類に圧倒された。コマドリやヤギ、カラス、キツネ、リスなどの動物のふるまいも、映像で観るとけして想像では及ばない細部の発見と感動がある。
なにより嬉しかったのは、メドロック夫人役を大好きなマギー・スミスが演じていたこと。原作よりもちょっと悪っぽく描かれていたがこれも映画的演出。
ディコンの母親が一切登場しなかったのが残念といえば残念。彼女は、原作ではけっこう象徴的な存在だと思うから。彼女を出すと出さないとでは、また映画の趣向も大きくかわってくるだろう。
そうそう、マーサのヨークシャー訛りを聞けたのもよかった。まろかやな子音と母音が耳に心地よかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月26日
- 読了日 : 2022年8月26日
- 本棚登録日 : 2022年8月26日
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