はじめて友達になれそうなアメリカ人を見つけた気がする。
当然のことではあるが、アメリカ人だからといって「ヘンベーガー!コゥカコーラ!テキサース!」みたいな人間ばかりとは思っていない。しかし、まさかエスカレーターを脚で登ることの是非について1章をかけて悩み尽くしたり、洗面所で同僚と隣り合わせたときの排尿に緊張を覚える人物がいたとは、さすがに意外だった。
あなたは、「今自分が聴いているこの曲を、世界のどこかでまさに同時に聴いている人間は何人いるだろう?」とふと考えてみたことはあるだろうか。
または、「今自分が不燃ゴミの袋に放り込もうとしている輪ゴムひとつとっても人知れず改良の長い歴史があり、これが何千何万とベルトコンベヤー的な何かに乗って生み出される工場が少なくともアジア圏内のどこかにあり、そこの工場長や更にその監督責任者がおり、その管理ないし研究に一生を捧げる人もいるんだろうなあ」とふと想像したりしたことは、果たしてあるだろうか。
上記のような妄りな時間を頻繁に削りだしてしまう(私のような)人は、この本を楽しめると思う。そして、さらに「どんなしょうもないことでも上には上がいる」とあらためて痛感するとともに、妄りな時間は増えるだろう。したり顔の楽しみとともに。成層圏上でアメリカと自分をつないでいる星々の輝きとともに。
読書状況:読み終わった
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はねる
- 感想投稿日 : 2012年5月14日
- 読了日 : 2012年5月13日
- 本棚登録日 : 2011年11月4日
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