大量移民と仮想通貨をテーマに日本を舞台とした近未来SF
サクサクよめて、スリル感も味わえたのはよかった
けど、SFとしてみるとちょっと物足りない
大量移民が独自の地下経済を形成、日本人の若者も急速な貧困化、貧困層の住居は私物を置けないほどの盗難多発。しかし、テロや暴動の脅威を感じさせるものが全くない。治安のあり方がアンバランス。
都心に一棟で数千人規模の貧困者向け住宅ができる。でも、エレベーターの設置義務を回避するため5階建て。いや首都の一等地でエレベータケチるほど土地に価値がないってことはないでしょ。
事件発生時でトレースされたのは、二つの口座間で金が動いただけ。なのに直ちに税務署は売上金だと認識し、さらに記帳されていないことを把握。超優秀。しかし泳がせておけば地下経済の多くを把握できるのに、たった数万円をすべて是正させて手の内をばらす無能という矛盾。さらにそもそも申告納税で決算前での記帳漏れの指摘とか何の意味があるんだ。
などなど。細かいとはいえ多数の設定内の整合性のなさを感じてしまうと、SFとしてはちょっと物足りなさを感じた。もっとも、移民と仮想通貨にテーマを絞るために、あえてそれ以外の点の不整合は切り捨てたのかもしれないけど。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年3月18日
- 読了日 : 2019年3月18日
- 本棚登録日 : 2019年3月18日
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