親指のうずき (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

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本棚登録 : 267
レビュー : 36
quatorzeさん 93: 英米文学   読み終わった 

私はその風景を見たことがある。

タペンスは、トミーの叔母の遺品に描かれた家を見たことがある気がした。叔母を見舞った時に出会った老婦人が元々の所有者であり、彼女の行方が知れないことを知ったタペンスは、老婦人の言い残した言葉の謎を解くために出かける。会議から帰ってきたトミーが知ったのは、帰ってくるはずのタペンスがまだ帰ってきていないことだったーー。

タペンスのお節介とも言える、しかも有り余る行動力で、ぐいぐいと読ませる。事件が起きるとは思わず、せいぜい過去の悲劇を明らかにするものだと思っていたら、事件は現在形になった。トミーが別の方向から参加することで加速する謎解き。明らかになった真相は、一線を超えてしまった犯人の思想。誰かを愛する気持ちから生じる他人への害意の底知れなさを、クリスティは容赦無く描いていた。

トミーのぼやきは健在で、そこはほっとして読める。

レビュー投稿日
2020年3月8日
読了日
2020年3月7日
本棚登録日
2020年3月8日
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