瓶詰地獄

著者 :
  • 青空文庫 (1998年11月10日発売)
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感想 : 11
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この作品は夢野久作の作品です。昭和3年(1928年)発売の雑誌『猟奇』10月号に掲載されたのが初出で、30分もあれば全て読めてしまうほど短い作品です。何度か改稿されているので「瓶詰」や「瓶詰の地獄」など色々な題名がありますが、「瓶詰地獄」とされている場合が多いです。

※ここからネタバレ注意※




 この作品の内容は、危険な虫や獣が一切おらず、瑞々しい果物や美しい花々で溢れたまさしく「楽園」のような無人島に二人で取り残されてしまった兄妹の話です。食料や水に困ることもなく、遭難する前から持っていた荷物の中から聖書を使って学校ごっこをしたりして二人は幸せに暮らしていました。そんな二人の幸せな生活に異変が起きます。それぞれの体が時が経つにつれて成長してしまったがために、兄妹でありながらお互いを異性として意識し始めてしまったのです。その葛藤が本人たちの書いた手紙の形式で描かれていく・・・というものでした。要するに近親相姦モノです。
 1通目として載せられている手紙は二人で身を投げることとそのことについて両親への謝罪が綴られた手紙。2通目として載せられている手紙は遭難してからの二人の生活と、時が経つにつれて互いを意識するようになってしまったことの懺悔が綴られた手紙。3通目はカタカナと簡単な漢字だけで書かれた、単純に助けを求める短い手紙。
 手紙がどこかに漂着して読まれた順に載っているのですが、その順番と手紙が書かれた順番が一致していない興味深い構成になっています。1→2→3とそのままの順番で読むとよくわからなかったけど逆から読んでみたら・・・というように、読む順番を変えると違った解釈ができるようになっています。内容が内容なので一概には言えませんが、もしも近親相姦に耐性がある方ならいろいろな順番で読んでみて自分なりの解釈を深めてみるととても面白いと思います。おそらく時系列的には難しい文字や文章の書き方を覚える前に書かれたと推察できる3通目が最初。聖書を使った学校ごっこを経て文字と文章の書き方を覚えてから書いたことが推察できる2通目が2番目。ついに救助が来たことと「私たちが一番はじめに出した」という文章から、少なくとも最初に書かれた手紙ではないと推察できる1通目が最後。と、載せられている順番とは逆からの順番が正しいと思います。しかしこの順番は私の考察なので読み手によって2番目(2通目)と3番目(1通目)が前後するかと思います。
内容が少し人を選ぶものですが、考察や解釈の幅がとても広くなる、面白いつくりの作品だと思います。

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感想投稿日 : 2021年7月31日
本棚登録日 : 2021年7月31日

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