こんな悲しい物語は、できれば読みたくない。ラストに用意されている薄い光明では、沈んだ心は十分に晴れない。
主人公が出会う悲しみに満ちたエピソードには常にやりきれなさがつきまとう。エピソードの向こう側に階級社会の影が強く見えるからだ。やりきれない出来事の連続の中にも、温かみを感じる人々が主人公に手を差し伸べる。固定された階級社会の中で生きていく時、救いになるのは社会制度ではなく、市井の人々の暖かさだけなのか。
映画『万引き家族』を観た時と同じような感覚だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年7月1日
- 読了日 : 2019年7月1日
- 本棚登録日 : 2019年7月1日
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