いつも聞いている、有料PodCastで宣伝されてあったので、興味深く重い購入した。さらに、著者はそのパーソナリティである。普段のコメントからしても、信頼の置ける1冊であろう。
食品の安全性を冷静に考えると、感情的に判断している事柄の多くに疑問が生じてくる。
たとえば、残留農薬について、報道される化学物質の残留値はppm(1ppm = 0.0001%)オーダーである。整数で表すと、その1000分の1オーダーのppbであったりする。もちろんそれで人体に影響する化学物質もあろうが、問題はその濃度で、その化学物質を含む物質を、どれくらいの量飲食したか、はたまたそれをどれくらいの期間続けたかというのが問題になるのだということである。
得てして、このような物質が危険であると訴え続けている人に、たばこや、アルコールの常習者が多い。これは、それら化学物質よりは危険度は少ないが、日々継続して摂取し続けているという点では、決して無視できる危険性ではないかもしれない。
そんな中で、何か一つに目くじらを立てるのではなく、全体を通してリスクを下げていこうというこのほんの訴えているところはまさにそのものである。
料理をする人は、食べてもらう人の「おいしい」という言葉を期待して、愛情を注いで料理を作る。そして、より多くの人の「おいしい」を聞きたくて、遠くに届けたくて、保存料や、そしてどのような環境で販売されても食味が落ちないように、合成調味料を加えていくことになったのであろう
一人一人が、それなりの輪の中で過ごすだけで満足できた社会であれば、上記のような化学物質は不必要であったのだろう。さらに経済性の問題が出てきたからには、コスト削減においても、様々な化学物質の出番が増してきている。
私たちは、消費者であり、家族の誰か、親戚の誰か、少なくとも知り合いの誰かは、生産に関わっているのだと意識して、無理難題な安値を求めるのではなく、生産側もこれは仕方ないとコスト削減を全くしないのではなく、お互いの妥協点を見つけながら、エネルギー、食料ともに自給率の低い日本を見直していく必要があると思う。また、その方がみんなが幸せになれるのではなかろうか。
- 感想投稿日 : 2009年9月13日
- 読了日 : 2009年9月13日
- 本棚登録日 : 2009年9月13日
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