妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻

  • 角川書店 (2013年6月7日発売)
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感想 : 22
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戦後70年ということもあり、テレビでは戦争を振り返る番組が頻りにかかっている。

偶然、私が読んでいたのがこの本だ。特攻隊を考える際、今の我々の死生観や国家観では語れない。リアルな出来事から、想像するしか他ないのではないだろうか。

本著の大半は、史実の整理に割かれる。この戦争が、いかにも関東軍の暴走から開始したかのような語りだが、ある面では事実だろう。国家の管理が行き届かない事ほど、我々が畏怖すべき事はない。言うなれば、終戦宣言後に独断で、かつ、妻を乗せて特攻する行為もそうだ。組織の体を為さず、もはや末端が独自判断で戦争行為をする事を当たり前に受け入れてしまっている。勿論、ソ連軍の狼藉、既に組織が瓦解している事など、原因はある。

戦争中のエピソードに、良いも悪いもない。国家観の利害を高次に操作、調整する際、起こるべきは必然。帰結として必然となる戦争を、回避するためには、戦争で得するもの全てを無機能にさせなければならないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年8月15日
読了日 : 2015年8月15日
本棚登録日 : 2015年8月15日

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