寒灯・腐泥の果実 (新潮文庫 に 23-6)

  • 新潮社 (2013年11月28日発売)
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本棚登録 : 158
感想 : 18
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私小説だから登場人物も変わらなく、飾りもない。そんな雰囲気が好きで、変わらない事を期待して読み、そして期待通りの空気感を味わえる。そう、期待通り作者は劣悪な性格で卑しく感情的。しかし可愛げがあり、どこか共感できる。だが大抵は、おいおいそこまで言うなよ、という感覚だ。

しかし、この私小説、どこまで実態を再現しているのだろう。作られたキャラだったら嫌だなと思いながらも、私小説を書くからには、主観的に自らの人生を切り抜くに、ここだ、というポイントがあるものではないだろうか。そう考えると、私小説には偽りは無くとも、編集があり、そら勿論、読み手を意識したカットや選別作業があるはずである。そうなればやはり、読み手に対して、こう見られたいという気持ちが働くものだ。この点が、私小説の限界ではないだろうか。というよりも、それも含めて、味わえば良いのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年2月12日
読了日 : 2016年2月12日
本棚登録日 : 2016年2月12日

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