小説の設定に好みがあるとすれば、私にとって、好みの時代は戦時中から戦後にかけての時代かも知れない。喪失感と再生の兆しに、ノスタルジアを感じるからだ。
日中を跨いだ男女の友情。それぞれに、自らの力を超えた社会による制裁、家庭内暴力という抗えない運命を経ながら邂逅を果たす。その再開は、辻仁成が書いた冷静と情熱の間という作品を彷彿させるが、男女の恋愛を挟まない所が異なる。時代を生きる男女の文化的な背景を読みながら、望郷の念を感じる読書となった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年1月13日
- 読了日 : 2020年1月13日
- 本棚登録日 : 2020年1月13日
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