プラハの墓地 (海外文学セレクション)

  • 東京創元社 (2016年2月21日発売)
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『シオン賢者の議定書』を小説のプロットに組み込み、歴史的事実と創作を織り交ぜて展開する、歴史小説。更に、主人公が二重人格という設定で、正直言うと、あまり楽しめなかった。ウンバルトエーコの小説は難解で、時代背景への基礎知識が必要だそうで、それが足りなかったという事。反省しなければならない。

例えば、プラハの墓地というタイトル。300年以上もの間、プラハでユダヤ人が死者を埋葬できる唯一の場所であり、15世紀半ばにプラハのユダヤ人地区であるヨゼフォフに設立され、長い年月をかけて約10万人が埋葬されたらしい。そしてプラハのユダヤ人墓地は、歴史上最も有名な反ユダヤ主義的陰謀の一つである「シオンの議定書」が生まれた場所でもあるのだ。

タルムード経典に記載された、選民のユダヤ人が非ユダヤ人(動物)を世界支配するという実現化への方針の道筋の陰謀論。

現代でもこうした陰謀論、プロパガンダやフェイクニュースがインターネット上に蔓延している。本書により、差別のメカニズム、作為に絡め取られる人間の性質を学べたら良かったのだが。虚実、人格の入れ子構造についていけず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年10月13日
読了日 : 2024年10月13日
本棚登録日 : 2024年10月12日

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