他人のことはわからない。自分とは違う体、自分があたりまえに「持っている」ものを持っていない人のことならなおのこと。
障害を「個性」と言い換える、という言説には賛否両論があるかと思いますが、ここで筆者が開いた視点は「身体的特徴により、自身とは違う特性を持った上で世界を捉えるまなざしを持っている」ということ。
わたしたちは彼らと同じにはなれなくとも、彼らを知ることで、彼らの見る世界を「想像」することが出来る。
大多数の「見える人」たちを前提とした世界の中で「見えない人」はどんな風に生きているのか。
視覚障害者へのインタビューを通して、自分とは違う身体的特徴を持った他者がどんな風に世界を捉え、どうやって生きているのか、『想像力を働かせ、他者を知る』ことをやわらかくて優しい手触りと温度のある言葉で降りていく語りかけがとても素敵。
「わかり合えなくとも寄り添い合うことは出来る」という優しさと、世界を捉えるまなざしを持ち、この社会で他者と生きていくことへの問いかけがやわらかく響く一冊でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2018年12月30日
- 読了日 : 2018年9月26日
- 本棚登録日 : 2018年9月26日
みんなの感想をみる