予告編を見ただけで、長いこと積んでいた「A2」を見たあと、「A」に対する『「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔』のように、「A2」にも撮影記録の本『A2』があることを知って、図書館で借りてくる。映画の本篇で落としたエピソード、採録シナリオ、そしてプロデューサーとして森と二人三脚で「A2」を撮った安岡卓治のテキストが収められている。
イスラムのドキュメンタリー監督・モグラビとの話のなかで、森が「ドキュメンタリー」について書いているところがある。
▼断言するが、ドラマとドキュメンタリーの差異など実はほとんど存在しない。台本の有無や、登場人物が俳優か素人かなど、作品の本質にとっては実に瑣末なことでしかない。もちろん絵コンテに従って撮影を重ねてゆくドラマと違い、ドキュメンタリーは撮った映像をベースにストーリーを構築するという手順の違いはある。しかし逆に言えばその程度だ。その境界はラインではなく曖昧なゾーンとして存在すると僕は考えている。(p.31)
ここを読んで、ああそうなのかと思った。私の中にも、ドキュメンタリーは「ホンモノ」で、ドラマは「ツクリモノ」という意識があるなあと思った。そんな私の認識は、どうやってできたのだろう。
森のいう「ドキュメンタリー」のストーリー構成は、取材をしてきた素材をもとに記事を書く、という文字の仕事にも似ている気がした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
図書館で借りた
- 感想投稿日 : 2010年11月2日
- 読了日 : 2010年10月31日
- 本棚登録日 : 2010年10月31日
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