興味深く読める部分はある。
が、それ以上にいちいち独善的とも思えるトゲのある表現が出てくるのがまず気になった。
頓珍漢な持論を展開し自己完結している部分も多く、当初興味深く読んだ部分にも徐々に眉につばをつけて読み進めるようになった。
また自店の非正規労働者も含めた若者や若者文化を低く見ているような傾向がみられる。
(他にも来店客のこと等々敬意の感じられない描写が散見されるが割愛)
この方は都心の大型書店の副店長であり、本書に登場するこの店の従業員がほぼ正規雇用の人物。
現実には書店に限らず、多くの企業で正規雇用者より割合の高い多数の非正規雇用者に支えられ成り立っている。
そのため高い目線で描かれている本書を読んでリアルな書店の現場が分かるかといえば、必ずしもそうとはいえないと思う。
特に、書店の非正規雇用は他業種に比べ賃金が低いことが珍しくない。
この業界ばかりではないが、書店業はなかなかハードな業務だと思われる。
ただ、そこになんらかの魅力を見出せるからこそ低賃金でもハードな業務を続けられるのではないだろうか。
そこを軽んじてはいけない。
正直、この本を読んだ限り、自分には書店業の魅力があまり伝わらなかったし、この方の下で働きたいとも思わなかった。
書店や業界の苦労話に比重をおかず、書店の良さももっと描いて欲しかった。
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- 感想投稿日 : 2012年5月3日
- 本棚登録日 : 2012年1月27日
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