百合子、ダスヴィダーニヤ 湯浅芳子の青春

  • 文藝春秋 (1990年1月1日発売)
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感想 : 11
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今月末に公開される映画の予習として。
大学図書館の地下集密書架からわざわざ掘り出してきた。

芳子と百合子の往復書簡が素晴らしい。
思っていることを文章で再現するのは難しいものだが、彼女たちの場合その再現率がとても高いのではないか。
特に付き合い始めた頃の手紙は双方が「腹を割って」書いているのが伝わってきて、言葉の力といったものをひしひしと感じる。
そして何より芳子が素敵。はっきり言って惚れる。

ただ少し引っかかったのは、著者の書き方が過度にフェミニズム(いわゆるレズビアンフェミニズム)を押し出しているように感じられたところである。私自身フェミニズムに共鳴するものがないわけではないのだが、あえてこの二人の関係を描く際にそうした思想を振りかざす必要もないと思う。というか、そもそもレズビアンとフェミニズムを不可分のもののように扱う姿勢に違和感を覚える。本書に関して言えば、行間に見え隠れする筆者の思想によって、かえって物語における叙情的な味わいが損なわれているように感じた。

さて、これをどう映像化するのかな・・・楽しみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2011年10月21日
読了日 : 2011年10月21日
本棚登録日 : 2011年10月10日

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