(015)庭 (百年文庫)

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レビュー : 18
まっきーさん 百年文庫   読み終わった 

春になり雪も解けて庭にクロッカスも咲き始めたので、『百年文庫 庭』を。百年文庫15。


梅﨑春生「庭の眺め」…☆3.5 野生動物、猫、汲取屋の馬までもが通過してしまう私の庭。隣の古畑家の庭は…徹底的に整備されていて、花々も不要な葉や枝は切り落とされ一輪ざしのように、痛々しいほどに管理されている。その対比が面白おかしい。
枝が茫々に伸び電線にかかるという理由で、古畑家の亭主に伐採された無花果の木。庭の片隅にある朽木にはシイタケの菌糸が勝手に埋め込まれている。手入れをしていない畑に、いつのまにか畝が出来上がっていて、何やら等間隔で正体不明の芽が出てきたり…。“生えるなら、生えてもいいのである”(22ページ)
現在ならご近所トラブルに発展しそうな感じがするが、シイタケが生えてきたら“眺めてみて、食慾を感じたら食べるし”(24ページ)という、私の臨機応変な対応でクスッと笑えた。



スタインベック『白いウズラ』…☆4 江口寿史の「白いワニ」を思い出してしまった(笑・全然違う)
庭に特別の思い入れがある感性豊かなメアリー。庭が彼を受け入れた…と感じてハリーと結婚する。メアリーの感性がどんどん鋭くなっていき、ある意味で「狂喜」⇒「狂気」の域まで達してしまう。(もう病的なんじゃない…?)
庭に訪れるメアリーが自身の化身だという、大切な白いウズラをハリーは撃ってしまう。ちょっと…マジでこわいんですけど…この夫婦。この後どうなったんだろう…。とても気になります。ハリー本人は気がついていないのかもしれないけど、深層心理では撃ちたいって願っていたのかも?私も最終的には同じ行動したと思う。メアリー、手におえない…。



岡本かの子『金魚撩乱』…☆3.5 『日本の女は、100年たっても面白い。』の中で、岡本かの子の生涯が紹介されていた。本当に金魚みたいな奔放な同棲生活。金魚=真砂子=かの子なんじゃないかと感じた。
池という名の庭で艶やか振袖を着て自由に泳ぐ金魚。その金魚(真砂子)に入れ込み過ぎて、人生のすべてを金魚の品種改良に捧げる復一。どれもこれもこわい。その執念が尋常じゃない。
十数年間もかけて新種に取り組んだのに…、その意外な結末に衝撃を感じつつも、ぷぷっと笑ってしまった。
この新品種の金魚が、自然交配の「芸術の爆発」の塊。なんだか岡本太郎っぽい。面白い~。
文章は濃厚、エロティック、くどいような気がしたけどきれいで、ぐいぐいとひきつけられた。


全体的に庭というよりも、庭に対する執念とか狂気とか、そんな雰囲気が濃かった。入れ込み過ぎてていて鳥肌ぞぞぞ。刺激的。

レビュー投稿日
2016年3月19日
読了日
2016年3月18日
本棚登録日
2016年3月18日
4
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