(044)汝 (百年文庫)

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本棚登録 : 55
レビュー : 15
まっきーさん 百年文庫   読み終わった 

百年文庫44 オール初読み作家さん。

吉屋信子 「もう一人の私」 ☆5 大正モダンな言葉づかいが清潔で新鮮。例えば…今でいうトイレが、「トイレット」その隠語が「いいとこ」。私にしてみると「トイレット」も「いいとこ」も、響きが素敵すぎて、うっとりの世界観。この世に生まれて数時間で亡くなった双生児の姉の戒名が「夢幻秋露童女」なところも素敵。使われている言葉や雰囲気が乙女、オトメしているのだ。


山本有三 「チョコレート」 ☆5 1931年の作品なんだけど…裕福な家のニート君が主人公で、何か平成のいま読んでも「ある!ある!」とドキドキしてしまう。言葉が独特で「キルク」⇒「コルク」、「ブル」⇒「ブルジョワ」、「シャンばかりねらう」⇒「美人ばかりねらう」…など、検索しながら読む楽しみがたまらなかった。富裕と貧困の差が今と似ている。恭一がとにかく優甘いすぎるのだ。そしてトドメの『明治ミルクチョコレート』が、その甘さが身に刺さるー。ぐぐぐぅー。痛烈だ。気持ちいい。


石川達三 「自由詩人」 ☆5 文章が鋭い。(さすが社会派!)こういう「詩人」みたいな人いる!いる!私自身が金をせびられる被害者のようで、ぐいぐい読みこんでしまった。面白すぎる。ここでも「紅毛人」というのが分からなくって検索した。よくない方に行くだろう…と最後は想像出来たけど、破滅的すぎて毒を飲ませた父に助けを求める子のシーンでは泣いてしまった。ありとあらゆる責任から逃げ、自由を求めて彷徨う男の死にざまが空虚すぎる。何にも残らないじゃないか。


山本有三も石川達三も作風が似ていて面白く新鮮だった。私って…こういうのが好きなんだなぁ…と、あらためて自覚した。まじめに…買おうかな。

レビュー投稿日
2015年1月8日
読了日
2015年1月7日
本棚登録日
2015年1月4日
8
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