寺田寅彦随筆集 (第2巻) (岩波文庫)

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本棚登録 : 225
レビュー : 13
著者 :
制作 : 小宮豊隆 
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作者は夏目漱石の門下生のひとり(―というか、教え子なのですがほとんど友人のような扱い―)で、
漱石と共に文学を語る素養をもっているそのくせに
東大理学部卒の
東大理学博士
とかいうバリバリ理系な上に、音楽にも詳しいという
ナイスガイ(笑)です。
『我輩は猫である』に水島寒月という名前で登場したりしてますが、

シイタケを食べて前歯がかけた

という経歴を持つ物凄いツワモノっていうかイロモノです。

そんな寅彦の随筆はやたら面白くて仕方ないのですが。最初に読むならこの2巻がお奨めです。

明治というか大正時代の昔から、
「満員電車」というものは存在したらしく「電車の混雑について」
という一説があります。

"満員電車のつり皮にすがって、押され突かれ、もまれ、踏まれるのは、
多少でも亀裂(ひび)の入った肉体と、
そのために薄弱になっている神経との所有者にとっては、
ほとんど堪え難い呵責である。"

分かるよ寅彦!そうだよね!

"まず停留所に来て見るとそこには十人ないし二十人の
群れが集まっている。そうして大多数の人は
いずれも熱心に電車の来る方向を気にして
落ち着かない表情を露出している。
その間に群れの人数はだんだんに増す一方である。
五分か七分かするとようやく電車が来る。

するとおおぜいの人々は、
降りる人を待つだけの時間さえ惜しむように先を争って乗り込む。

あたかも、もうそれかぎりで、あとから来る電車は
永久にないかのように争って乗り込むのである。"

いまと全く、まったく同じですね

文語的言い回しがなんとも好き「落ち着かない表情を露出している」

そしてトラは、このあと統計をとって、

「混雑した電車の公式」

を編み出し、なにやら図表を用いて、更に難しげな関数でもって解いてみせるのです。
人間に対してはどこまでもツンデレな寅彦の書く「猫」という一説なんて、そのデレデレっぷり(笑)に
頬が緩みっぱなしで笑ってしまうのですが、最後のほうの言葉にハっとさせられます。

・・・・とらひこ!!!!と肩をたたきたくなるような随筆です。
短編だし繫がりもないので、電車で軽くよむならちょうどいいんじゃないかと思います

レビュー投稿日
2008年5月21日
本棚登録日
2008年5月21日
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