ディクスン・カーの作品でも一、二を争うほど有名な一作。アガサ・クリスティもトリックを絶賛していたらしい。カーの中では異色の作品らしいが、カー作品をほとんど読んでいない自分には詳しいところは分からない。
薄幸美人のイヴ・ニールは再婚を間近に控えていたが、ある夜、二階の寝室に居た所に前夫がやってくる。前夫と言い争っている最中、彼女は向かいの家に住んでいる婚約者の父親が殺されているのを目撃。しかもアリバイを言い出せないでいるうちに、殺人犯の濡れ衣を着せられてしまい、前夫は意識不明の重体に。絶体絶命の彼女の前に現れたのは、心理学の権威であるターモット・キンロス博士だった。
キンロス博士が出てくるだけあって(他の作品に出てくるのかは知らないが)、本作には心理トリックが使用されている。心理トリックは、うまく使えば完全犯罪を容易に演出することができるが、使い所が難しい諸刃の剣。とはいえ、不可能犯罪の大家であるカー先生の手腕は流石のもので、自分も登場人物と一緒に見事に引っかかってしまった。
イヴ・ニールみたいに超美人なのに男運が悪すぎる人ってのは現実にもいそうな感じがして、何とも言えない気持ちになる。以上。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリー(長編)
- 感想投稿日 : 2013年5月23日
- 読了日 : 2013年5月7日
- 本棚登録日 : 2013年5月7日
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