宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。 (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年10月1日発売)
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本棚登録 : 24
感想 : 4

由緒正しい青春群像ジュブナイル文学。
あー、ここにこう書いてあるってことは、お話の次の展開はこんな感じかなー……おっと、フェイントなし真正面から「こんな感じ」きたー、みたいな(伝われ)。
齢をとって私みたいに本の読み方が捻くれてしまうと、つい「伏線が分かりやすすぎるかな?」みたいな感想を書きがちなんですが、こういう作品が、常に「現役世代」に向けた新しく瑞々しい物語として書き継がれることは重要なので、2021年のそういう一編に触れる機会を得られたことをありがたく感じています。

ところで、選考方式の特性か、単なる偶然か、あるいは数ある中で私が手に取る作品の傾向がそうだというだけの話なのかも知れないけど……ライトノベルレーベルの新人賞を経たデビュー作は、登場人物の感情や感性を作者が上から目線で否定してみせたり、場合によっては重大な人権侵害を自業自得の体裁で肯定するといった内容を含む傾向がある。
本作の場合は、重大な人権侵害といった問題のある描写ではないながらも一例として終盤289頁~290頁の語りにその特徴が見られ、ここで否定されることから逆算して(物語当初の)主人公の価値観を設定したような格好になっている。
それは、該当する頁の下りで主人公が「決めつけ」だと自省していた行為そのものを作者がしていたことになるし、物語としては嫌な作り方だなぁ、などと思うわけです。
もっとも、受賞作の第1巻でこういった表現が鼻についた作品でも、シリーズ化により徐々に軌道修正された前例は多い(※1)。
洗練させていくのは2冊目から、みたいな考え方が編集者にあったりするのかなぁ、とか思ってます。

※1
その中でも、屋久ユウキ『弱キャラ友崎くん』は、当初抱かせた不満に対して、物語の側からしっかりした回答を提示していた点で出色です

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月10日
読了日 : 2021年11月10日
本棚登録日 : 2021年11月10日

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