河童・戯作三昧 (角川文庫 あ 2-8)

  • 角川グループパブリッシング (2008年7月25日発売)
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感想 : 6
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まず、お勧め度の★が少し低い一つの理由は、作品が悪いからではなく、わたしが理解できなかったから。

古い言葉が使ってあるため、ほとんどなんのこっちゃらわからないままに終わった作品も何個かあった。「糸女覚え書」なんかは、80%ぐらいよくわからなかった。何度も読み直してみたけれど、やっぱりわからなかったので、あきらめた。わたしの知能の低さだ・・・orz

あとね、10作品のうち「河童」が代表作らしいのだけれど、わたしの趣味に合わなかった。なんとなく言いたいことはわかる・・・気がする。でも、だから?って思ってしまう。どうも、作者が自分の日々考えていることを河童にぶちまけさせてみた感じ。ひとつのテーマがあるというよりは、思っていること全部ぶちまけてみた!という感じがしてしまうのだ。まあ、この作品は、芥川の後期の代表作で、評価されているんものなのだから、わたしの好みと合わなかっただけということだろう。

他に、好きな作品もいくつかあった。「開化の殺人」「開化の良人」「玄鶴山房」など。もともと、芥川龍之介は好きな作家だ。それほどたくさんの作品を読んでいるわけじゃないけれど、芥川龍之介の世界がなんだか好き。ひどく厭世的で、内に内にこもった感じがする。世の中、他人がわかってくれないことへの悲しみ、ないたい自分になれないための自己嫌悪。どの作品を読んでも、そんな印象を受ける。

この本のたくさんの作品の主題は、「その人が」どう思っているかとその人がどう思っていると「他人が」思っているかのギャップであるように感じる。例えば、「玄鶴山房」という作品の中のお手伝いさんは、常に人の不幸を見て、あざ笑うことを楽しみに生きているが、実際には行き届いたお世話などによって、周りの人にはありがたがられている。重要なのは、人から見える姿なのか、本当の姿なのか。しかし、本当の姿とはどういうものなのだろう?このお手伝いさんは、「人の不幸を笑う」ことを「楽しんでいる」と本人は思っているが、実際にそうなのだろうか。もしかしたら、自分でそう思っているだけかもしれない。実際にしているのは、親切である。

芥川龍之介が好きと書いたけれど、全部読んでいるわけではない。その理由は、重いから。少なくともわたしは彼の本を軽く読むことができない。読んだあと疲れる。なので、また読みたいと思うけれど、しばらく読まないのではないかという気がする。

余談だけれども、芥川龍之介って本名なんだね。

とてもきれいな名前なので、ペンネームかと思っていた。芥川は、養子に行ったさきの名前らしい。実のお母さんは気が狂って亡くなってしまったというので、そんなところからこの厭世観は生まれるのかな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2011年7月11日
読了日 : 2010年7月15日
本棚登録日 : 2011年7月11日

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