テレビは戦争をどう描いてきたか 映像と記憶のアーカイブス

著者 :
  • 岩波書店 (2005年9月28日発売)
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2005年刊。著者は、NスペのEXプロデューサー。戦後のTVドキュメンタリーの代表的番組の分析を通し、そこで描こうとしたこと、そして意識的・無意識的を問わず、描かなかったことを暴き、アジア・太平洋戦争にいかに向き合ってきたかを問いかけるもの。特に、余り日の当らないテーマ、例えば、朝鮮人軍属への補償、韓国残留日本人妻の来し方、戦中での日本人同士の殺し合い・人肉食、原爆とその調査・資料の米軍没収、サハリン残留韓国人、満州残留日本人妻、フィリピンゲリラ等を描き、興味深い内容。もう少し読まれてもよい書。
なお、安倍晋三氏が、故中川一郎氏とともに、NHK幹部と会談し(当人は圧力せずとの主張)、しかる後、既に放送内容が定まっていたある番組が時間が短縮され放送されたという事実を、本書では開陳する。著者は削除・改変は自主的判断というものの、他方、異例の事態であるとも認めている。政治家として、報道機関に対するかかる行動が適当かどうかは、色々考える必要がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月20日
読了日 : 2017年1月20日
本棚登録日 : 2017年1月20日

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