1990年に発見された「昭和天皇独白録」の成立過程・記述内容を元に、戦後の天皇制の存続の意味合い、いわゆる「穏健派」「宮中グループ」「昭和天皇自身」が、①GHQや東京裁判に対して果たした役割や、②戦争に至る過程において果たした役割等を明らかにしようとするもの。東京裁判の当不当というやや不毛な議論に入り込むことがなく、資料を駆使して説明しようとする点は好ましい。本書からは、①上記グループの日中戦争の過小評価、②宮中の右翼人脈によるGHQ関係者らへ接待攻勢、③天皇の戦争開始拒否権行使の容易性等がよくわかる。
また、④天皇への情報伝達(内奏・御下問等)の程度・実態や十五年戦争期の内大臣の機能強化の実情などは興味深い。
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月14日
- 読了日 : 2017年1月14日
- 本棚登録日 : 2017年1月14日
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