ヒトラー蔵書から彼にオカルト信奉の心性(つまり、行動や政策に影響を与える要素)を見て取れたので、ヒトラーのオカルト信奉(黒魔術・聖杯信奉)を正面からテーマにする本書を紐解く。ロンギヌスの槍とは十字架に磔にされたキリストを刺し貫いた槍。若い頃から黒魔術他、オカルトに傾倒したヒトラー(槍の実物の残存を信じたヒトラーが実に胡散臭い)がこの槍に執心していた模様を描く。ただ、著者自身がオカルト信者のようでもあって、その部分は相当割り引く要あり。また、ヒトラーの信奉ぶりの説明が、間接的証拠・証言に依拠も問題か。
オカルト解説とヒトラーの傾倒とをそれほど区別して書いていないので、少し読みにくく、ヒトラーと余り関係のない人物のオカルト傾倒が多い点はマイナスか。これらから見て、かなりの部分の記述の信憑性には問題が残るが、余りこういう書はないことやヒトラー・ナチスのオカルト信奉自体の否定は難しい点は承認しうるか。なお、若きヒトラーがオカルトに帰依する際、麻薬?の影響下にあった可能性も示唆。2002年(底本1976年)刊行。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月23日
- 読了日 : 2017年1月23日
- 本棚登録日 : 2017年1月23日
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