オスとメス=性の不思議 (講談社現代新書)

  • 講談社 (1993年3月17日発売)
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感想 : 14

1993年刊行。著者は専修大学法学部助教授。◆法学部助教授だけど、本書はまんま生物学の書。◇単純な意味での繁殖は性(性的2型)とは無関係。しかし、15億年の経過の後、ヒトはどのような繁殖・配偶行動を持つに至ったか。本書は、適者生存的進化論では説明困難な進化過程に関し、性選択仮説、精子間競争(男性間競争)仮説などを駆使し、具体的な動物に関する配偶者選択・繁殖方法を踏まえて、巨視的に解説していく。◇本書で少し斬新に感じるのは、例外的と断りつつも、雄による雌の選択過程が存在しうることを解説する点だ。
◇また、人間とは、①連綿と続く進化過程の中で生存してきた動物という側面と、②理性を持つ存在という側面がある。しかも、その動物という側面(①)からみるに、一般的に見て、環境に即した多様な繁殖・配偶形態がある上に、ヒトという特定種については、自産する文化的な所産そのものが、ヒトという種の環境を構成すると評しうる。この時代毎で変容する文化的所産に基づいて、繁殖・配偶形態にも変容がもたらされる点への言及があって、なかなか読ませる一書だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月7日
読了日 : 2017年1月7日
本棚登録日 : 2017年1月7日

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