子殺しの行動学 (講談社学術文庫 1057)

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  • 講談社 (1993年1月1日発売)
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1993年(初版1979年)刊。南インドの野生ザル、ハマヌンラングールを餌付けなしに野生の生息状況を長期にわたり野外観察し、世界でほぼ始めて哺乳類による子殺し(実子でない)を現認。この観察記録や追試の観察記録、子殺しの生物学的評価を纏めた一書。著者は京都大学霊長類研究所教授。サル学はやはり面白いことを再確認。興味深いのは子殺し初観察の3章(極めてビビッド)、追試の5章、子殺し要因論の6、附章である。基本的には、雄の雌獲得競争の圧力の強弱が子殺しに影響しているらしいが、厳密には、この近接要因は未確定らしい。
著者が問題とするのは、究極要因(遺伝的根拠がある点)を強調しすぎる結果、近接要因を等閑視し、結果として何も把握していないのと同様の結果に陥っている点である。「子殺し遺伝子の保有者は…包括適用度をあげる…論議だけでいくと、なぜインド亜大陸の中央で(子殺し慣習が)止まってしまうのか説明に困る」「子殺しをしない地方(場合)の条件を考えなければならない、究極要因論全盛になるにつれ、近接要因に言及した仮説は…影を潜め」がそれ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月20日
読了日 : 2017年1月20日
本棚登録日 : 2017年1月20日

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