北朝鮮―その衝撃の実像 (講談社プラスアルファ文庫)

  • 講談社 (1994年9月1日発売)
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1994年(加筆前底本1991年)刊行。
韓国内の北朝鮮追跡紙の記事等から。

 亡命朝鮮人民共和国人のインタビュー・レポートを通じ、彼らの多様な立ち位置から北朝鮮の実像を解読しようとする書。

 経験に即した供述は具体的であり、衣食住の生活ぶり、医師等俗に言う上流階級も厳しい生活実態(例えば、闇米購入で給与の大半を消費)も垣間見え、厳しさに暗然とするとはいえ、内容はそれほど新奇とは言い難い。古い本(金日成末期~金正日政権への移行期)というのもあるかもしれない。

 しかし、情報の重要性、特に外国語の意義を強く感じる。
 東独などへの長期留学ならまだしも、韓国語の新聞が広く流通していないロシアへ一時出国が許された若手上層ですら、そのロシア語が読めず、結局北朝鮮の新聞からしか情報取得できない、との実例が開陳される。
 そもそも自国の政権を相対化し改善を目するには、他国からの目線が要るが、語学はその不可欠の基礎素養だからだ。衛星放送テレビで、他国のニュース報道も容易に手に入れられる現代な猶のこと。

① 出身成分による差別(カーストも吃驚の51段階)、
② 軍部が人口の2割を占める歪さ(官僚の肥大化傾向と相俟って軍隊とその構成員削減が政治的に難しい)。食いっパグレなくするために軍人になる傾向。
③ 92年の一人当たりGDPは実勢約400ドル(公表約940ドル)で最貧国なみ。
④ 南の知識人(大学経済学部研究者)に対する欺罔を凝らした北朝鮮入国勧誘。気付けば妻子共々北朝鮮国内で南向けの宣伝放送の担当者に仕立て上げられる。
⑤ 北朝鮮で一番の金持ちは、実は朝鮮総連出の北帰国の元在日朝鮮人という全く笑えない指摘もある。

 なお、朝鮮日報が反北朝鮮側傾向の強い新聞社であるとされている点は気にかけておくべきか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2016年12月23日
読了日 : 2016年12月23日
本棚登録日 : 2016年12月23日

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