◆本書が雄弁に語るのは、政治家の言葉から「真」と「誠」の喪失した要因、言葉や約束・公約が軽くなった要因。かような戦略が駆使されるなら、真の情報リテラシーが求められているのは我々選挙民。こう読み解くべき書◆
2016年刊。著者は元日経ベンチャー、日経E-Biz編集長(現情報分析・情報表現コンサルティング業)。
◆自民党の下野時代に、民主党から政権を奪うべく、所謂SNSといったネット口コミ情報、インターネット情報媒体への露出度と、TVを中核とする既存媒体との関係性をかみ合わせて練り上げた、自民党の好感度上昇・支持率上昇戦略、そして民主党攻撃戦略。
これらを、時期を追って、その中核を担った人物が解説する書である。
こんな戦略に晒されていたのかと些かげんなりするが、SNS等から広がりを見せるキーワード・重要トピック抽出。それらに関するポジ・ネガ分析。これらを日・週・月単位で分析して、爾後の方向性に結び付けていった。その作業そのものについては、注視すべきものとして本書を読む意味があったと感じさせられる。
しかしながら、有体に言えば、政治家の言葉に「誠」とか「真」はなくなってしまい、つまり、票を獲得するための言葉の使い方ばかりに意識を回している存在に、政治家(特に某党)が堕してしまった。だからこそ、何を実行するか、何を約束するか。これらの言葉が上滑りし、また何ができないかということを隠蔽し、表層を飾り立てるだけの政治家の発言が軽く薄っぺらになっていく。これも宜なるかな。
正直こんな戦略に踊らされたくはない。そうだとすれば、個人的には、小さなことでも、自分の頭を使って考えるクセ、(簡単でもいいので)裏取りをするクセ、情報の出所を把握して真逆の立場から見るクセが重要だなと感じさせられた。
そして、TV報道は殆どダメだということにも気づかされる(二か国語放送で英語のヒアリング学習に使えるくらい)。
- 感想投稿日 : 2018年4月29日
- 読了日 : 2018年4月29日
- 本棚登録日 : 2018年4月29日
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