沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 (下) (集英社文庫)

  • 集英社 (2011年7月20日発売)
4.05
  • (16)
  • (31)
  • (7)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 290
感想 : 20

2011年(底本2008年)刊。

 尖閣問題は底本にはなく新規とのこと。

 沖縄戦後史だが、雑誌連載の集積なのでテーマは多岐に亘る。軍用地主、芸能、金融、沖縄独立論、基地問題と米軍人による強姦事件、琉球王朝家の戦後史等。
 当然、感想も多岐に。
 沖縄闇金の跳梁跋扈に驚く一方、サラ金の金利の低さにも。また、反戦地主とは異質の軍用地主、彼らや琉球王朝家の影響。米軍に対するアンビバレントな感情と基地経済の浸透度、その一方で地位協定の不備と米軍(特に海兵隊)が治安悪化要因という点は看過し得ず。
 アングラを書かせたら読ませる著者らしい一書。

 他にも、仲井真知事の悪い意味での官僚堅気、守屋武昌元防衛省事務次官や米国国務省・国防総省担当者が沖縄反戦運動を見る目線とは真逆の彼らの言動(沖縄の所謂弱者の戦略)=クロスリファレンスの意義を感得させる面もあり、多面的に沖縄を見ることができる。
 
 個人的には模合(≒頼母子講)を含む金融史が一番興味を引いた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月21日
読了日 : 2017年1月21日
本棚登録日 : 2017年1月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする