下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (5) (ガガガ文庫 あ 11-5)

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  • 小学館 (2014年1月17日発売)
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感想 : 6

ネタバレ 第二幕開幕。下ネタの下品度はやや影を潜めるも、彼方此方に挿入される下ネタ強度は衰えない。その一方、本作はとうとう政治闘争色を強めていく。ここでの前提は、表現の自由の規制立法、特にそれが刑事罰を含む場合に、いかなる基準で適正さ(現行日本風なら、合憲性・憲法適合性)が判断されるべきかという問題意識。現行犯なのを傘に着て令状主義をものともしない官憲、恣意的な摘発や犯罪創出を誘発する規制内容など、全く良く考えられているモチーフである。◆かかる規制を揶揄し、20年代米国禁酒法の如く、誰も遵守したがらない描写に喝采。
また、そんな規制をものともしないで、局地的な作戦に没頭する主人公に感じるカタルシスも充分存在する。◇なのに、ラスト後に展開される新事実・新規制に唖然。しかも、そこで展開される規制理由としての立法事実の出鱈目さ(しかも、その出鱈目さが誰でも判るように工夫されているのがニクい)、出鱈目さが揶揄し、風刺することには唸ってしまった。◆焚書モノ、表現の自由規制モノの作品は多々あるが、こういうタイプのものは多くはないように思うんだが…。どうなんでしょうか

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年1月24日
読了日 : 2017年1月1日
本棚登録日 : 2017年1月1日

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