高杉晋作 (中公新書 60 維新前夜の群像 1)

著者 :
  • 中央公論新社 (1965年3月1日発売)
3.48
  • (3)
  • (10)
  • (20)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 94
感想 : 10

1965年刊。著者は立命館大学教授。

 小説・映画で語り尽くされてきた高杉の古典的評伝。

 本書で、高杉が魅力的と感じる人がいるのかなと思うほど、実に毀誉褒貶が激しく、行動の主体性を感じない人物である。

 すなわち、尊皇派、攘夷派、開国派、交易派、富国強兵派、その何れでもなく、またその何れともいえそうな存在感である(ただし、佐幕、公武合体派ではなさげ)。
 その理由が、藩内上層の出自、松下村塾門下生、父祖の意見を尊重する忠孝の心性を持つ人物ということに加え、意外なほど他藩や幕府の人間との邂逅が多くなく、つまり、酒色と女色には溺れたようだが、社交的ではなかったという社会性。そして、上海遊学経験等といった高杉自身の持つ多面性にあると、解読が出来よう。

 もっとも、功罪・善悪・毀誉褒貶がないまぜとなった高杉の実相が、リアルに示されているといえるかもしれない。

 なお、第一次長州征伐における西郷吉之助の目的が、武力によらない長州の潰滅にあった点、第一次長州征伐後、幕府恭順に傾く俗論派を藩主流から叩き出し得たのは、高杉ら奇兵隊による戦勝にあった点は個人的には注意すべき事項か。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月21日
読了日 : 2014年1月29日
本棚登録日 : 2017年1月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする