1974年刊行。著者は東京経済大学教授。市民と権力側の対立構造・闘争。これ自体は歴史構成の一面であるが、必要不可欠な視座でもある。本書の叙述は、西南戦争後から日清戦争開始までだが、その中でも、自由民権運動、明治14年政変後の自由党弾圧、秩父事件に多くの頁を割いている。のみならず、北海道開拓における民衆の役割・苦闘にも触れており、これが特徴的。些か、共産主義的用語を多用する点や民衆闘争の感傷的ないし過大評価は散見されるが、引用も多く、昨今の通史書では触れられない事実を指摘。なお、佐々木高行日記の引用が多い。
余り聞いたことがなかったが、本書で触れる北海道開拓による未回収・放置遺骨も、硫黄島や南方諸島等の戦時中のそれと同じ価値を持つと思いたいところ。彼らも精一杯、国難に立ち向かったのであるから…。
読書状況:読み終わった
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月19日
- 読了日 : 2017年1月19日
- 本棚登録日 : 2017年1月19日
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