纒向から伊勢・出雲へ

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レビュー : 3
著者 :
reinouさん 研究書   読み終わった 

2012年刊。著者は神戸大学工学研究科教授。

 プレ大和朝廷の宮殿遺跡とも解される纏向遺跡で想定される建築様式が、後の出雲大社・伊勢神宮に及ぼした影響を解読することで、7世紀後半に確立した伊勢神宮・神道の淵源を読み解こうする書。
 なお、著者は、周辺出土土器の編年関連からのみで纒向を3世紀初頭の遺跡、つまり卑弥呼と同時代の遺跡と見るが、ここはかなり甘いようにも。誤りとは思わないが、証拠固めが足りないか。

 そもそも建築遺構は、土器や青銅器類(銅鏡の他、銅鐸・銅剣・銅戈)に比し、出土数の少で、地域的分布を論じ得るほど多くない。

 まぁ、こう思うのは、祭祀の在り様に関して、十分な説明・論拠のないだけでなく、「あるがままを受け入れよ」とする宗教的実践の気持ちの悪さが、個人的に感情的な忌避を生んでいるからだ、という気がしないではないが…。

 面白い本だが、結局、こういう大神宮だけでなく、小さな古い社の神道建築遺構との関連性も踏まえたものでなければ、心に響かないなぁと感じてしまった書とも言えそう。
 他方、土器・青銅器等は、多様な型式に加え、半島や大陸などとの比較が簡便。つまり多層的解析が可能な遺物と見得る。
 加え、そもそも本書に如実に示されるが、建築遺構の復元自体に解釈の幅が広く、纒向→大社・神宮への関連性解説の雑駁さが、拭い去れぬ座りの悪さを感じさせる。
 まして、遺構よりも遥かに再現性の確実性に疑問を呈しそうな、遠い過去の祭祀の在り方に言及し、建築遺構の関連性解読の論拠に用いられると、ますます座りの悪さを感じてしまう。

レビュー投稿日
2016年12月15日
読了日
2016年12月15日
本棚登録日
2016年12月15日
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