生き地獄天国: 雨宮処凛自伝 (ちくま文庫 あ 41-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2007年12月10日発売)
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本棚登録 : 203
感想 : 26

2007年(単行本2000年)刊。自伝単行本に一章を加筆したもの。試行錯誤しながら苦境を克服していく様や、よい意味での著者の旺盛な行動力に感嘆。が、それよりも、本書全体に通底する著者の人間的成長が最も興味深かった。そもそも、単一・簡明な課題設定では、複雑な社会の問題の解決は難しく、単純なモノの見方では隠された事実に気づくことはできない。著者の陥ったこの過誤に、自ら気づき是正する過程が彼女のリアルな人間的成長を感じさせる。特に225頁以下の「事件」、297頁以下の「皇居前広場での気づき」がそれに該当する。
この気づきという点で、読書の重要性を感じる。多面的なモノの見方をつける最も簡明な方法が読書と考えられるからだ。ちなみに、オウム脱会者が「こっちの世界って、何も魅力がないですね」と述べる箇所がある。皮相的なモノの見方だなと思いつつも、現代社会の闇の深さを感じさせるところだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自叙伝
感想投稿日 : 2017年1月15日
読了日 : 2017年1月15日
本棚登録日 : 2017年1月15日

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