キノの旅 (5) the Beautiful World (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2002年1月10日発売)
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法とは何かを問う「人を殺すことができる国」。
第三者との共生を前提に、生命など他者の尊厳を守ることで自分の尊厳を守ることができる。この意識なしに順法意識は成立しないことを鋭く問いかけるものだ。
そして、家族間といえども財産・資産を巡りどうにもならない闘争を惹起する。「血は水より濃し」という格言が如何に浅薄かを垣間見せる「塩の平原の話」。
あるいは、科学の進展を通じ人間が生存していく原罪を製薬過程を通じて暴き出す「病気の国」。
予言という何の根拠のないものを、声のでかさで信じさせてしまう。それを信じた周囲の愚。これを嘲笑うかのごとき「予言の国」。
その他諸々を併せ、全く見事な短編集である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年5月6日
- 読了日 : 2017年2月15日
- 本棚登録日 : 2017年5月6日
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