ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

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本棚登録 : 1090
レビュー : 121
著者 :
reiruiさん  未設定  未設定

日本人作家にどうしてここまで中国人が描けるのだろうか、と悔しくすら思う一作。中国人のプライドとコンプレックスと最終的に大事にする価値、それに対照する日本人の作法との食い違いを冷徹な目で描ききっている。

北京オリンピック開催直前の中国を題材に、汚職と中国共産党内での政争の有様と、先進国に必死に技術でついていこうとする様子を描く。更にサブテーマに原発の安全問題をも含んでいる。
複雑極まりないテーマなのに、とことん具体的に描写は進められる。

中国人が最終的に気にする価値は金銭と地位であること、党への恐れや保身を優先するということ。矛盾するようだが中国や中国人というものへの隠れた誇りがあること、だけれどもその誇りをくじけさせる事象にあまりにも慣れすぎているため希望を持つことを自ら否定してしまっていること。

作中の映画監督の描写に作者自身の葛藤と思索も見える。記録映画にするのかフィクションの世界で勝負するのか。記録映画で真実を一面からしか描いてないのに真実を全て分かったつもりで公開するよりは、フィクションにて自分の主張をぶつけたい。そう思った映画監督に作者が重なる。

レビュー投稿日
2011年10月26日
本棚登録日
2011年10月21日
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