民族という名の宗教: 人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書 新赤版 204)

  • 岩波書店 (1992年1月21日発売)
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人間の歴史(猿人~古代国家~ローマ帝国~近代国家~明治維新、ユーゴスラビア、ユダヤ人)を振り返りながら、集団として人をまとめる原理について考察されている。対話形式のため読みやすい。国家、民族など普段は考えもしなかったことだったので、知的興奮もさることながら、知らず知らずの内に作られた「単一」「同じ」という意識が私の中にも浸透していたのだなとハッとさせられた。

・血の信仰→言葉の信仰
・宗教が部族を越えて広まり、人間を大集団にまとめた
・国家にふさわしいのは国民という呼び名、その国家と人間とをどろどろとした感情で結びつけようとして用いられるのが民族というフィクション
・民族=部族意識を越えさせる新しい宗教
・産業革命、大きな市場がほしい→国家(ネイション)統一運動
・近代化とは、民族の神話を創造するための、民俗的なものの容赦ない切り捨て
・民俗は現実だけど、民族はフィクション
・日本人の単一化が進んだのは、日清、日露の戦争をきっかけにしてであり、更にそれが進んだのは昭和の軍国主義の時代
・「日本人」は作られたもの
・単一民族だとフィクションになる→単一化された国民
・近代化は単一化

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2016年
感想投稿日 : 2016年4月17日
読了日 : 2016年4月17日
本棚登録日 : 2016年4月17日

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